ひまわり日記
監督加藤治代のひとりごと。
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皮膚と底
表面は、柔らかい湿った皮膚みたいな弾力があって
スプーンでひとすくいした痕は、満月のでかくて白いクレーターの様。
その底が見えてしまうと、思わずふぅーとため息が出ます。
胃袋にブラックホールに続く穴が開いたみたいに、
ずっとずっと食べていたかった。
日曜日に仕事に出かけた旦那が、
夜中、恐ろしいほどうまいプリンを買ってきてくれました。
まるで悪魔の食べ物みたいですが
机の上に置かれた空の器の底は、
合板の木目の模様という、なんとも見慣れた日常的な風景。
使い捨てのスプーンを入れたら、
プリンの底から
カランとプラスチックの乾いた音がしました。

静まり返った深夜
読みかけの小説を手に取ったら、
果物の皮をむく様に、生きたまま
表面の皮膚をキレイにむかれて殺された人のお話でした。

布団の底に落ちたみたいに
怖くなって
眠れなくなってしまったので
プリンの事を考えることにしました。

加藤治代

2007 3 23 pm 9:00  明日からアップリンクだ
最近・・・
毎日、
お洗濯をして、
お掃除をして
お買い物に出かけて
ご飯を作っています。

その合間に、金森太郎さんが撮影してきた
インドの旅行記の編集をします。

その合間に、庭の草むしりをします。

その合間に、あるホームページのなかにある
絵本を紹介するコーナーの文章を書きます。

その合間に、いただいた年賀状の返事を
2か月遅れで書きます。
これはまだ早い方。
以前、返事が暑中お見舞いになってしまった時には
友達に叱られました。

そんなことをしているうちに
3月24日から、渋谷のアップリンクで上映が始まります。

加藤治代

2007 3 9 am11:30 水仙が咲いている日


ピンクの造花
「神様」
と廊下で女の人が絶叫しました。
体中から絞り出す様に
その名を何度も何度も呼びます。
涙で顔はぐちゃぐちゃ。
心配そうに4,5人が円を描いて彼女を取り囲んでいるけれど
触れると壊れてしまいそうでそれ以上誰も彼女に近づく事ができません。
窓の外では救急車のライトが静かにくるくる回って、
診療室と書かれた閉ざされた白いドアの向こうから、
怒鳴っているお医者さんと、
バタバタと走り回っている看護婦さん達の足音がします。

絶叫が止みません。
「神様 どうして」
と天井の青白い蛍光灯に向かって
彼女は叫び続けていました。

小学校に入ったばかりの男の子が、トラックにひかれて
運ばれて来たところ。
即死だったと知り合いの看護婦さんがそっと教えてくれました。
お医者さんと
男の子の母親、
そして荷物をいっぱい抱えた私がいます。
"無力"の刻印を押された時、唯一許されるのは祈る事だけでしょ?
診療時間が過ぎた夕方の病院は、空っぽの冷蔵庫みたいに
冷えきった長い椅子と、自動販売機の電気の通る音がするだけ。
受付にある、常に満開のピンクの造花に、もう埃が溜まり始めています。
私は、洗い立てのパジャマをギュッと抱いて、「神様」という絶叫を連れて
治療中の母の待つ病室に走っていきました。


右手に焼き鳥、左手に中ジョッキを持って居酒屋に座っている時、
私はこの事を思い出していました。
なぜなら、
一緒に飲んでいた20歳の男の子が
「神様って、弱い人がすがるもんだよなぁ。自分の力で何とかしようとしない人がさぁ」って、
つやつやした顔で言ったから。
世界征服を企んでいるに違いない赤い顔の人達に、
私は絶対に迎合しないもん。
口もきかないもん。
笑い声の聞こえる賑やかなお店の中で、少し気持ちが悪くなってきました。
私は、苦いお薬を飲む様に、いっきにビールを飲みほしたら
「加藤さん、さすがっすねー、やるなぁ」と、
とても褒められてしまい、ついつい微笑んでしまいました。

加藤治代
2007 2 9 am 2:00  昨日、梅が咲いてたよ 
ちょうど一年前の夜、
私は祖母と2人きりで、一晩中、手をつないで過ごしました。
とても不安だったのでしょう、少しでも離れると懸命に私の手を探します。
勝手に酸素マスクをはずしてしまうから、
祖母は厚い木綿の白い布で
囚人の様に両手をベットに縛り付けられていました。
沢山の点滴は、おしっこが出ない為に
体中に不思議な水たまりを作ります。
肺の中にもお水が溜まって、体液で溺れていたみたい。

時々、確かめる様に手を強く握るので、私も、もっと強く握り返します。
ぱんぱんに腫れ上がった手の皮膚の下で、ゼリーみたいなものが動いて
身体の中でとんでもない事が始まっている感じがしました。

真夜中、南に向いた病室の窓を開けると
切れる様に冷たい空気がいっきに入って
まるで深呼吸するみたいにカーテンが膨らみます。
本当に息苦しくて寒くて長い夜。
祖母は亡くなる前、「おばあちゃんはね、どんな事になっても、
治代と一緒にいられて幸せだよ」と、泣かせる事を言ってくれてました。

今日は、祖母の命日です。
お花を持ってお墓参りに行ってきました。
出てこないかな。
お化けでも良いから、もう一度会いたいな。
でも、ほんとに出てきたら怖いな。

加藤治代

2007 1 19 pm 6:00 風がやんだ夕方
ビジュアルアーツと法政大学
11月3日
大阪の専門学校ビジュアルアーツにて「個から見つめる まなざしの共有」と題して、「ディア・ピョンヤン」のヤン・ヨンヒ監督、ビジュアルアーツの"猫好き"としおかさんと3人でお話してきました。講演会が始まる前、"一番搾り 350ml"をごちそうになりました。普段、発泡酒しか飲んでいないので"久しぶりの本物のビール"という妙な盛り上がりで、だいぶ緊張がほぐれました。ヤンさんは聡明でとても美しい人。隣に並ぶのがなんだか申し訳ない気がしていたのですが、とても気さくな方で楽しくお話する事が出来ました。打ち上げの後
"猫が待っているから・・・"と言いながら、としおかさんがさっさとお帰りになりました。

11月17日 
久しぶりに新宿から京王線に乗りました。法政大学で行われる"丹羽ゼミ ドキュメンタリー映画祭"に参加する為です。
初めのうちはとても混んでいた車両が、一人減り二人減り・・気がつくとガラガラになっていたのを見て、自分が向かっている場所がどんな所か、たどり着く前にわかってしまったのでした。
きっと大学の"学校案内"のパンフレットには、"自然豊かな恵まれた環境・・"とかなんとか唱ってあるに違いないそのキャンパスは、紅葉真っ盛りの山の中なのです。一緒に行ってくれた町野さんと"旅行みたいだね"なんて言いながら、群馬並に寒くなった坂道を上って会場に向かいました。

丹羽ゼミの学生の皆さんが制作された作品を5本拝見させていただきました。

最初の作品は"これが私の決めた道"。
子育てをしながら大学へ通う21歳の女性のお話でした。同世代の彼らが共感を持って応援しながらカメラをまわしていたのがとてもよく伝わってきます。"産む"という重い選択から生じた彼女の母親との壮絶なやりとりも見えて・・・彼女の決断にやっぱり私も応援したくなってくるのです。でも一番気になったのは、19歳の旦那の前で
"彼を信じてるから・・・"と言った大学生ママの彼女の姿が熟女の私には、とても幼く見えたということ。もしかすると1人の女性を描くには、3ヶ月という限られた時間では足りないのかもしれません。

"日本で、生きる。"はカンボジアの難民の若い夫婦の作品。作品の冒頭、いじわるな日本人のおばちゃんが登場しました。ほんとに短いシーンでしたが、そのおばちゃんの存在だけでガンボジアの方が日本でどんな状況に置かれているのかがよくわかってしまうのだから、映像って本当に面白い。カンボジアに帰りたい奥さんと日本に居場所を見つけた旦那さんとの微妙なズレも今後起こるであろう二人の様々な問題を予感させます。だから余計、やっと購入した車を楽しそうに運転している姿に、見ている私達はほっとするのでしょうね。

3番目の作品は、"いいとしこいて"
これは高齢者の性を扱ったもの。題材の面白さといい、出てくる人の魅力といい、とても面白かった。60分くらいの尺にして、もっといろんな人に見せられればいいね、と町野さんと言ったりしました。でも残念だったのは、女性と結婚して子供もいらっしゃるというゲイの男性が、冒頭に出てきただけだったという事。多分、撮影させてもらえなかったんだと私は推測します。もちろんどんなカメラだって人の触れてはいけないところを触れてはいけないのです。でも本当に撮影を許可してもらえなかったのであれば、せめてその事だけでも作品中に伝えた方が良かった気がするのですが、どうでしょうか?カメラが入れない場所があるというのはとても大事な事。
でもなんつっても、私がこの作品でとても好きな所は、カメラを向けている相手に対して、きちんと距離と敬意と尊敬を持って撮影しているのが感じられるというところかな。

" Deaf Report"は "手話狂劇"に取り組んでいる「日本ろう者劇団」の皆さんの様子を描いたもの。
"対象を理解しよう"という姿勢が一番強く感じられたいい作品です。逆に言えば"聞こえない世界"を
理解するのに使った困難な時間があったからなのかもしれません。困惑していた彼らに対して、劇団員の方が手を差し伸べてくれたと聞きました。
とにかく、カメラが動機になって他人に会い、ある世界を理解するための道具になっているとしたら、ほんと、ドキュメンタリーっていいもんだなぁとつくづく思います。

"白球の向こうに"は、今回の中で唯一"闘う映画"。理不尽な規則で試合に出る事が出来ない
野球部員の女の子のお話。撮影しながら何かを見つけていくというよりも、現実を使ってその現実を変えていきたいという意思を持った作品でした。映像は何かを告発したり、批判したりする場合
とても雄弁にいろいろな事を語ります。一番印象的だったのは、やはりその野球部員の女の子が泣いているシーンでした。見ている方も素直に気持ちが動きます。
町野さんも一緒に泣いていたそうですよ。
強さと優しさを感じる作品でした。

普段、映画の感想を聞かれると「すごく面白い」か「まあまあ面白い」か「・・・・」しか
語れません。でも今回は間違いを覚悟で文章にする事を自分に課してみました。
それだけ、映画祭が楽しかったってこと。
でも、つまらない事を書いてしまって、法政大学の皆様、ごめんなさい

加藤治代

2006 12 1 pm 9:30  肩こりの夜







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