ひまわり日記
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ピンクの造花
「神様」
と廊下で女の人が絶叫しました。
体中から絞り出す様に
その名を何度も何度も呼びます。
涙で顔はぐちゃぐちゃ。
心配そうに4,5人が円を描いて彼女を取り囲んでいるけれど
触れると壊れてしまいそうでそれ以上誰も彼女に近づく事ができません。
窓の外では救急車のライトが静かにくるくる回って、
診療室と書かれた閉ざされた白いドアの向こうから、
怒鳴っているお医者さんと、
バタバタと走り回っている看護婦さん達の足音がします。

絶叫が止みません。
「神様 どうして」
と天井の青白い蛍光灯に向かって
彼女は叫び続けていました。

小学校に入ったばかりの男の子が、トラックにひかれて
運ばれて来たところ。
即死だったと知り合いの看護婦さんがそっと教えてくれました。
お医者さんと
男の子の母親、
そして荷物をいっぱい抱えた私がいます。
"無力"の刻印を押された時、唯一許されるのは祈る事だけでしょ?
診療時間が過ぎた夕方の病院は、空っぽの冷蔵庫みたいに
冷えきった長い椅子と、自動販売機の電気の通る音がするだけ。
受付にある、常に満開のピンクの造花に、もう埃が溜まり始めています。
私は、洗い立てのパジャマをギュッと抱いて、「神様」という絶叫を連れて
治療中の母の待つ病室に走っていきました。


右手に焼き鳥、左手に中ジョッキを持って居酒屋に座っている時、
私はこの事を思い出していました。
なぜなら、
一緒に飲んでいた20歳の男の子が
「神様って、弱い人がすがるもんだよなぁ。自分の力で何とかしようとしない人がさぁ」って、
つやつやした顔で言ったから。
世界征服を企んでいるに違いない赤い顔の人達に、
私は絶対に迎合しないもん。
口もきかないもん。
笑い声の聞こえる賑やかなお店の中で、少し気持ちが悪くなってきました。
私は、苦いお薬を飲む様に、いっきにビールを飲みほしたら
「加藤さん、さすがっすねー、やるなぁ」と、
とても褒められてしまい、ついつい微笑んでしまいました。

加藤治代
2007 2 9 am 2:00  昨日、梅が咲いてたよ 
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